東京の初台と下北沢にあるfuzkue。店主の阿久津さんは「本の読める店」という言葉をつくった。そのお店をつくった。「本のある空間」と「本の読める空間」は違うものなのだ。阿久津さんはこれをはっきりと言語化してお店づくりの定義をしている。私が欲しかったのは安心して本を読める空間だったのだ。ほかの誰よりも私自身がそれを欲している。それに気がついたのだ。そしてそういう思いを抱えている人はほかにもいるのだ。同じ空間にいる人たちに敬意を払いながら本の読める空間を一緒につくりあげる。自分の時間のつかい方にきちんとお金を払う。そこにいる全員がひとり静かに本を読んでいる空間はとても美しい。
calil.jp