活版印刷による本の印刷を繰り返すごとに文学作品の本文が少しずつ変化をしていく。自分たちが読んでいる文学作品が最初に発表された状態と違っている。教科書に載っていたり全集本に収録されている本文も内容が変わってしまっている。編集の過程のなかで意識的に直されたところもあるし意図しないミスや見落としが原因だったりもする。印刷会社の職人さんが文学作品の本文を形成するときにどういう影響を及ぼしていたのか。作家はどうして既に発表した自分の作品に手を加えてしまうのか。作家の意図していたとおりに本をつくるというのはとても困難なことなのだ。
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