空間〈機能から様相へ〉
「空間を形成する行為は、なにも建築や庭をつくるという行為に限らず、私たちの日常生活のあらゆる局面でなされているということである。私たちは、空間的にしか存在しえない。したがって、空間的伝統は、人々の行為のあらゆる局面にかいま見られる傾向であり、そしてその傾向は、歴史的に共有されてきたものでなくてはならない」。空間に対して自分が構想することには、先人たちからのさまざまな力が及んでいる。私たちが鑑賞しているさまざまな芸術作品にも、たとえば古典文学にもそれは表れている。見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ(定家)。様相や境界という言葉から空間とは何かについて考えてみる。