毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

引用と借景

「旧市街はその中心に広場を引用する。広場はその懐に人を引用する。モノを引用する。彫刻を引用する。ローマ、ナボナ広場のベルニーニの彫刻がそのような引用行為の結果であるように。人は広場を借景する。彫刻は広場を借景する。広場は旧市街を借景する。旧市街は周囲の郊外を借景する。郊外はやがて、からくりの上で、想像の上でということにはなるが、国全体を借景する。国は周囲の国々を借景する」。住んでいるまちでの暮らし。通り過ぎたまちの記憶。滞在したまちの思い出。まちの名前と文学作品とがつながって記憶に残る。作家の息づかいを感じる。作品舞台と台詞を思い出す。まちの風景は引用と借景から構成されている。

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