一箱古本市の歩きかた
本は読むためものだ。読むために本を買う。本は集めるものだ。そして本はどんどんと溜まっていく。自分の本棚の空きスペースを少しずつ侵食していく本たち。空間は埋まっていく。楽しい気分だ。そしてついに本は溢れ出す。本を手放さなければならない日がやってきた。どうせならばその本を喜んで手にとってくれる人に渡したい。直接に手渡したい。少しだけでもお話しをしてみたい。自分の本棚から手放す本を抜き取る。次の持ち主を探すための場所へと運ぶのだ。自分の本棚から旅立っていく本の姿を想像する。手に取る人を想像する。丁寧に一冊ずつ本棚から本を抜き取っていく。