毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

理想の書物

美しい書物を読んでみたい。おもしろい本とか楽しい本とか怖い本とかではく、ただただ美しい書物に触れてみたい。紙の質感、印刷の状態、書物の装飾、活字のデザイン。どんな本ならみんなに美しいと思ってもらえるんだろう。画家の描いた絵はどんな風に書物…

凡人のための地域再生入門

図書館は地域社会のなかに建てられている。にぎやかなまちやのんびりしたまちなど、図書館の形はそれぞれの地域文化の影響を受けている。でも地域の様子は少しずつ変化していく。経済状態や社会状況は変わる。地域にはいろんな問題がある。高齢化だったり教…

本文の生態学

活版印刷による本の印刷を繰り返すごとに文学作品の本文が少しずつ変化をしていく。自分たちが読んでいる文学作品が最初に発表された状態と違っている。教科書に載っていたり全集本に収録されている本文も内容が変わってしまっている。編集の過程のなかで意…

公共図書館の冒険

「今とは違う、別の公共図書館がありえたのではないか」という問題意識から図書館の歴史を問い直した本。現状の図書館の形や図書館サービスのあり方を、私たちは当たり前のものとして受け入れてしまっている。けれども図書館が今日のような姿になっているの…

コミュニティナース

おせっかいを焼く人がまちを変えていく。まちのなかのいろいろな場所に相談できる場所ができていて、困ったときに頼れる場所がある。困っている状況をさらけ出すことができて、きちんと受け止めてくれる人がいる。それはとても豊かなコミュニティだと思う。…

装釘考

書物の装い。本はどういう紙でどういう印刷でどうういう体裁でどういう綴じ方でどういうデザインでつくられているのか。形式・技術・素材の違いが見えてくる。いろんな本の装釘を紹介し続ける本。活字、南京綴じ、背文字、合綴、異装、新装、小口、軽装、袋…

めんどくさい本屋

東京赤坂でめんどくさい本屋を営む店主。100年先の本屋の未来を考えている人。竹田さんは本棚に「他人が入る余地をつくる」ことの重要性を問うている。少しだけ手に取ってみた本、たった1行だけでも目を通した本、それも読書のうちなのだ。いろんな人の思い…

本の読める場所を求めて

東京の初台と下北沢にあるfuzkue。店主の阿久津さんは「本の読める店」という言葉をつくった。そのお店をつくった。「本のある空間」と「本の読める空間」は違うものなのだ。阿久津さんはこれをはっきりと言語化してお店づくりの定義をしている。私が欲しか…

華氏451度

本が禁制品となった未来の話。本を所有していることが見つかったら昇火士(ファイアマン)がその本を焼き尽くしに来る。本はなぜ焼かれてしまわなければならないのか。なぜ本が重要なものと位置づけられているのだろうか。本の特性、情報の本質とは何だろう…

遊びと人間

図書館でも遊びの要素は大事だったりする。遊びから新しいアイデアは生まれる。ビブリオバトルが図書館でもずいぶんと実施されるようになってきたけれどあれも遊びの範疇ですね。遊びには4種類の区分を見出すことができる。競争と偶然と模擬と目眩。誰かと競…

サードプレイス

第一の場所(家)でもなく、第二の場所(職場や学校)でもない。第三の場所で過ごしたりそういう場所をつくることの意義を問いかけてくる。ある人にとってそこは安心の時間を過ごすための場所かもしれない。別の人にとってはどこかから逃げ込む場所になるか…

読書と社会科学

「情報として読むこと」と「古典として読むこと」という性格の異なる二通りの読み方が示されている。前者は必要なところをかいつまんで読むことで、案内情報を求めるという性格を持っている。後者は情報の見る眼を変える/情報の受け取り方や求め方を変える…

誰のためのデザイン?

みんなが図書館を自分のつかいたいようにつかっている。楽しんでいる。図書館員は利用者たちにできる限り気持ちよく図書館で過ごしてもらいたいと思っている。一見すると図書館員も利用者も自分たちの思い通りに図書館のなかで過ごしているように見える。け…

アレクサンドリア

図書館史をたどっていくと古い時代の図書館の事例として必ず登場する有名な図書館がエジプトにある。アレクサンドリア図書館と呼ばれる。地中海沿岸のアレクサンドリアという街は歴史上さまざまな舞台となっている。アレクサンドロス大王の遠征。クレオパト…

リンボウ先生の書物探偵帖

本についての考古学と呼ばれる学問がある。それを書誌学という。本を手にとって眺めてみると、いつの時代にどういう経緯でつくられたのものなのかが推測できる。紙の質だったり印刷の状態だったり、手がかりはいろんなところにある。古書とはどういう経緯で…

フィロビブロン

著者は14世紀イギリスの聖職者のひとり。まだグーテンベルクの活版印刷も発明されていない頃の写本時代の話。書物を集めたり書物を保存したりすることの意義を問いかける。書物を読むことや愛書家と呼ばれる人たちの話が語られていく。書物を貸すことや取り…

積読こそが完全な読書術である

本がどんどん溜まっていく。本棚に部屋のあちこちに積み重なっていく。本が部屋を侵食していく。本が積まれていく様子を眺めるのはなんだか心苦しい。読みたいのに読めない。時間がない。読まれないままに積み置かれる本たち。その状態を積読と私たちは呼ぶ…

インタビュー

雑誌や新聞を開けばいろんなインタビューの記録が掲載されている。テレビをつけてみればインタビュー映像も目にすることができる。誰かが体験してきたことや考えてきたことを言語化してもらうための対話。でもそもそもインタビューってなんなんだろう。その…

読書と人生

自分の読書がどのように変遷してきたのかを記録に残してみる。本をどのように読んでいったらいいのかを問うてみる。そもそも本というのはいったいどういうものなんだろうかを考えてみる。本は自分自身に問題意識をもって発見的に読んでみるといい。本は道具…

写真のなかの「わたし」

自分の顔を写真に残す。写真技術の初期の頃から今日のポートレイト写真に至るまで。歴史を振り返る際に私たちは著名人の肖像写真を目にしている。同時代の雑誌の読者モデルもそういった写真の一種だ。誰かが被写体となって誰かが撮影者になっている。そして…

本好きのためのウォーキング入門

古典や近現代文学に登場する作品舞台。多くの人が行き来してきた古道や街道。著名人が暮らしていた家とその周辺環境。歴史的な事件が起こった土地。大規模な自然災害が発生した場所の記録。普通の人々が暮らしていたまち並み。和歌に詠まれた風景。その土地…

ボランティア

人と人とは情報を介してつながっていく。つながっていく際には何がきっかけとなるんだろうか。情報が既にどこかに「あるもの」と考えるのか(静的情報)、情報が相互作用のプロセスのなかから「生まれてくるもの」と考えるのか(動的情報)の違いをまずは意…

フリーカルチャーをつくるためのガイドブック

著作物には著作権という権利が発生している。著作権者はその著作物を用いてお金を儲けることができる。一定の年数が経つとその著作物の権利はなくなるが、著作権がまだ残っている場合は利用の範囲が制限される。権利者の許可なく著作物の自由な利用はできな…

ヘンな論文

論文というものはなんとなく堅苦しいイメージがある。研究者がまじめにわけのわからないことに取り組んでいて、そもそもなんでこんなことに興味を持ったのかがさっぱり理解できない。でも論文というのは研究者の知的好奇心が生み出したこの世界を理解するた…

法のデザイン

法律は私たちを縛るような側面があるように見える。できること/できないことの線引きがなされるように見える。でもルールがあることによってできることを考えてみるきっかけが生まれる。私たちの行動のためのルールを自分たちの手でつくっていくこともでき…

本の本

本の仕事はいろいろある。本をつくる。本を届ける。本を売る。本を並べる。本のデザインをする。本の校正をする。商品としての本のおもしろさ。本を扱うことの話は語っても語っても尽きない。楽しい。楽しくてずっと話し続けられそうだ。本屋はどこかのタイ…

たのしい編集

本を読むのは楽しい。集めるのも楽しい。本を書くのも楽しい。そして本づくりも楽しい。本づくりにはいろんなプロセスがある。編集やDTPや校正や装幀など。楽しいけれどもそれぞれの仕事の工程にはいろんな苦労がある。工夫が必要だったり細かい配慮が求めら…

本の世界をめぐる冒険

本は単なる紙の束というイメージだけれども、よくよく考えてみると話はそれだけではなさそうだ。本というものはもう少し柔軟な捉え方ができるらしい。本があるとそこに人が集まってくる。人が集まればそこでいろいろなできごとが起こってくる。本は人を集め…

図書館・まち育て・デモクラシー

図書館は誰のためにあるんでしょう。図書館では何ができるんだろう。図書館は私にどんな風に手を差し伸べているんだろう。そのことに気がつけるだろうか。あるいは気づかせてもらえるだろうか。私は図書館とどんな風に歩んでいるんだろう。まちのみんなは図…

日記をつける

なんとなく過ごしている日々のできごとを記録に残しいていく。その積み重ねを繰り返す。日記は書くのではなくつけるもの。まるで時間の流れにしるしをつけていくように。日記をつけることから生まれ出る文章。生まれ出てくる思想。そこからつくり出される本…