毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

装幀列伝

人が読書という行為に至るまでの過程を考えると、本の中身を読む前にまずは本そのものに触れるところから始まることになる。私たちは読みたいと思った本を手に取ってその本を開く。開かれた状態で誰かに読まれているときの本と、閉じた状態で棚に置かれてい…

観察の練習

図書館はいろんなサービスを提供している。それらのサービスのデザインというものはどこかのタイミングで誰かが考え出したものでもある。今に至るまでの図書館の形というものはたくさんの試行錯誤の結果としてみんなでつくってきたものなのだ。サービスデザ…

高校図書館デイズ

本は読んだ後に誰かと話したくなる。誰かと話した後は本を読みたくなる。人と話して本を読んで、人と話したら本を読む。そしてまた次の本を読む。自分のできごと誰かのできごと。知らなかった世界のこと。昔のできごと。自分たちの未来のこと。本のこと。物…

知の広場

図書館ではいろんなことができる。そのことを広場というキーワードからたどってみる。図書館について「屋根のある広場」という捉え方ができるのだということを知ると、その姿や形はずいぶんと違ったものに見えてくる。図書館は一見すると本のための場所のよ…

本を読む人のための書体入門

本を書くためには文字が必要です。本を読むにも文字が必要です。手書きの文字を書いてみてください。あなたの手書きの文字はどんな形ですか。今度はパソコンで文字を印刷してみましょう。どんな文字を選ぶことができるでしょうか。書体の選択肢はどれくらい…

読みたい心に火をつけろ!

学校図書館を本気になってつかうことができる時間というのは人生のなかでそれほど多くはない。一生を通じてつかうことができるまちの公共図書館と比べても、学校図書館は卒業してしまうとその後には足を運ぶ機会がなくなってしまう。それは社会教育と学校教…

本は読めないものだから心配するな

本を読むってどういうことなんだろう。襟を正して本に向き合ってしっかりと読み込まないといけないような思いになってしまっているのはなぜなんだろう。あれもこれもたくさんの本を読んでおかないといけないような気がしてしまう。圧倒的な本の数を目の前に…

まちの本屋

本屋さんは本の流通の途中でお仕事をされている。私たち本の読み手の一歩手前に立っている。本にはいろいろな人の思いが込められている。本のつくり手も本の読み手も、そして本を届ける人たちもいる。サブタイトルにある「編む・継ぐ・耕す」という言葉から…

データを紡いで社会につなぐ

デジタルアーカイブは情報資源との接し方を随分と変えてきた。紙でしか触れることができなかった情報というものに気軽に触れることができるようになった。情報との距離感が変わった。そして大量の情報を活用して、紙媒体では実現できないデジタルならではの…

モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語

本を生業とする人たちが暮らす。イタリアの山奥の小さな村が本を生業としている。その人たちは旅をしながら本を売り歩く。大多数の人たちにとって本は読むために存在している。私たちは興味を持った本に手を伸ばしてただひたすらに本を読む。けれども自分た…

読書の歴史を問う

読書ってどういう状態のことを言うのだろう。紙の束でつくられた本を手に持ってそこに書かれた文字を目で順番に追いながらページをめくり続けて内容を理解するという行為なのだろうか。でもそれだけではなさそうだ。そもそもあなたの手のなかにあるその本は…

子どもの図書館

みんな最初は子どもだった。子どもはお話しが好きだ。いろんな楽しいお話しを聞きたがる。子どもがそばにいると大人たちは子どものことを考える。子どものために本を揃えたい。子どものために本を読める場所をつくりたい。そういう実践を通して何が残されて…

生きるための図書館

現在みなさんが見ている身近な図書館の姿かたちはいつからそうなってたんでしょう。そしてその仕組みはいつまで続くものなんでしょう。それは自分たちよりも少し上の世代の人たちがつくりたかった図書館の姿かたちなんだと思いますね。歴史が積み重なる。そ…

図書館情報学を学ぶ人のために

図書館情報学に関係するキーワードをコンパクトにまとめて解説した一冊。目次を眺めるだけでも図書館について語ろうとすると実に多様な切り口があることがわかる。図書館にはいろんなテーマが見え隠れしている。その形は一様ではなくてとても多面的だ。複雑…

ビブリオバトル

ビブリオバトルを取り上げた本はいろいろと出ていますが、そのなかでも一番最初に出版された考案者自身による解説本。本を誰かに紹介するという行為にルールを設け、ゲームという形に仕上げることでその楽しさを具現化している。図書館ではない場所で生み出…

どすこい出版流通

本が世の中に送り出される仕組みはおもしろい。本づくりにはいろんな人たちがそれぞれの立場で関わっているわけですが、できあがった本をどのように読者の手に届けるのかという仕組みを確立していくことも必要なわけですね。あなたがたまたま訪れた本屋で手…

まちライブラリーのつくりかた

まちライブラリーという取り組みを知ったときはそのコンセプトにとても驚いた。そうかそうか、本は人をつなぐためというつかわれ方もするんだなぁ。誰かが揃えてきた本棚を眺めることのおもしろさにみんなが気がついてしまったのだ。本は読んだ後に誰かとつ…

社会的処方

自分や家族の生活のこと身体のこと病気のことなど、何らかの悩みを抱えて毎日を暮らしている。私たちは悩みとともに生きている。不安だったり心細かったりもするし、倒れて寝込んで起き上がれない日もある。そういうときに相談ができる誰が身近にいるという…

レファレンスと図書館

図書館ではレファレンスサービスを実施しています。これは簡単に言うと調べ物のお手伝いをすることです。分からないことを調べるときにどの本を開いてみればいいのかをアドバイスします。便利なんですよ図書館は。自分の疑問に寄り添って一緒に調べてくれる…

夜明けの図書館

図書館のレファレンスサービスをテーマにしたお話し。図書館員は日々迷いながら利用者と対話を繰り返す。少しずつ新しいものの見方とか必要な文献を探す方法を身につけていく。より適切でより確実でより的確な本を探す力を身につけていく。新人からベテラン…

ネット文化資源の読み方・作り方

インターネットは便利だなぁいろんな情報が簡単に手に入る。そのなかでも信頼できる情報はどこにあるだろうか。いろんな組織のいろんな人たちがインターネットにさまざまな情報をあげているようだ。その便利さに気づけるだろうか。あっこんな便利なデータベ…

読む時間

人はいろんな場所で本を読む。椅子やベンチに腰かける。仰向けに寝転びながら。うつ伏せになりながら。丸まりながら。本を読む姿勢も様々だ。誰かと寄り添いながら。独りきりの空間で。外の空気を吸いながら。部屋に籠もりながら。まるでこの世界は人が本を…

フィルターバブル

インターネットで検索した結果が自分と他人とでは違ってしまっていることは言われてみないと自分ではなかなか気づけない。私が見ているウェブの世界とあなたが見ているウェブの世界は違うらしい。みんなが同じものを見ていると思っていたのになあ。見えてい…

書物の環境論

あなたはこれまでにどんな本を読んできましたか。どんな本を持っていますか。その本はどこからやって来ましたか。本屋で買ったり古本屋で見つけたり誰かからプレゼントされたりしましたか。誰がその本を書いて誰がつくりましたか。あなたのところまで運んで…

コーヒー・ハウス

一緒にコーヒーを飲みたいですね。あなたと話をしながら。そろそろ一人じゃつまらないですね。コーヒーがそばにあるのならきっと話も弾むのに。コーヒーのあるお店にはいろんな人が集ってきたらしい。作家もジャーナリストも科学者も。空想とか疑惑とか猥褻…

図書館はコミュニティ創出の「場」

図書館というのはいろんなサービスを提供している。まちの図書館は公共サービスの役割を果たすので、老若男女を問わずさまざまな住民がやってくる。住民からのいろんな要望の形を想定している。その一方で、何らかの特定の機能を強調していこうとする図書館…

著作権とは何か

図書館では利用者にサービスを提供するなかでいろんな著作物を扱うことになる。それらの著作物には著作権が発生している。法律だとか社会制度との関係のなかで図書館という仕組みを考えないといけない。時代によっても法律の条文や解釈も変わっていく。著作…

本屋、はじめました

すべての本屋は誰かがはじめたものである。当たり前の話だけど物事にははじまりがある。その始まり方は勝手に起こるものではない。いつの間にかはじまっているものでもない。誰かが相当な覚悟を持ってはじめている。本屋は明確な意思とともにはじめるもので…

本棚の中のニッポン

日本文化を海外に伝えるというと、英語に(あるいはそれぞれの現地の言葉に)翻訳するという方法が思い浮かぶ。でも日本語をそのまま理解できる人たちは海外にもたくさんいる。日本語を学ぶ外国人だったり、海外在住の日本人/日本語話者だったり。日本語の…

その情報はどこから?

生活しているとさまざまな情報に出会います。自分から探し出した情報もあれば、向こうから飛び込んできたと思えるような情報もある。まずは情報を疑えだとか情報リテラシーだとか、いろんな人が同じようなことを言っている気がしますよね。新しい情報に出会…