カンマの女王
「よい書き手は、自分の書き方で書く理由をちゃんと持っているものなので、彼らの文章をいじくって、癖のある語法を無難なものに変えたり、カンマを入れたり、書き手がわざとぼやかした部分をはっきりとさせたりするのは、よけいなお世話だ。わたしの経験では、ほんとうにすごい書き手は編集のプロセスを楽しむ。彼らは指摘を吟味するし、受け入れるにせよ受け入れないにせよ、まともな理由を持っている。守りに入っていないのだ」。書かれた文章が本の形に仕上がっていく過程に校正という仕事がある。スペルはそれで合っているのか。カンマやハイフンを入れるか取り去るか。「人間の心が揺れるのに合わせて、言葉は揺れる」。