2021-02-08 東京ハイカラ散歩 「着古した破れ外套のポケットに黄色の鉛筆一本と、小さな手帳、それに一冊の新東京地図というのをしのばせた。これがすべてである。履き馴れた日和下駄に蝙蝠傘というあの三十六年前の『日和下駄』の雅士とはくらぶべくもない私の心と姿である。古きものは滅びる、新しきものは古びる。それは自然の理である」。野田宇太郎が「文学散歩」という言葉をつくる。東京の街中に点在する文学的な場所を巡り歩く。夏目漱石、樋口一葉、幸田露伴、森鷗外、泉鏡花、徳田秋聲、谷崎潤一郎、島崎藤村、永井荷風。東京の橋、坂、道、邸宅跡、墓。作家がどこに住み何を食べ誰と会って何を考え何を書き残してきたのか。文学から見る街の歴史。 calil.jp