切りとれ、あの祈る手を
「いつかこの世界に変革をもたらす人間がやって来るだろう。その人間にも迷いの夜があろう。その夜に、ふと開いた本の一行の微かな助けによって、変革が可能になるかもしれない。その一夜の、その一冊の、その一行で、革命が可能になるかもしれない。ならば、われわれがやっていることは無意味ではないのだ。絶対に無意味ではない。その極小の、しかしゼロには絶対にならない可能性に賭け続けること。それがわれわれ文献学者の誇りであり、戦いである」。その本はどうして書かれたのか。残ったのか。誰がその本を残したのか。あなたはなぜその言葉に出会ったのか。残されたものは言葉だけ。その言葉にあなたが出会える夜がある。