共通感覚論
「現在ひとは、なにごとにつけても自分で憶えていようとせず、機械にまかせようとする。/こうしたことは人間に見られる〈記憶の外化〉の趨勢のあらわれでもあるだろう」「機械に委ねられないような種類の記憶力をも、記憶の外化とともに私たちが衰弱させていることである。機械に委ねられないような種類の記憶力とはなにか。それは想起・再認の能力である」。記憶の問題を考えるときにはイメージ・時間・場所との結びつきが見られる。記憶と想起とはどう違うのだろうか。記憶術が果たしてきたものとは何だろうか。「暗記されたものは、彼がそれを物語として話すとき、つまり語りを行うときにはじめて記憶となるのである」。