アイデンティティが人を殺す
「さまざまな考え方の素晴らしい混淆からは、全会一致的な単純きわまりない意見、知的にはたいしたことのない共通分母的なものしか生まれないというのです」「メディアについても、同じような不満を表明することができるでしょう。これほど多くの新聞、ラジオ、テレビがあるのだから、異なる意見がいくらでも聞けるだろうと私たちは思いがちです。ところが実際はその逆だと気づくのです。これらのメガフォンは、そのときの支配的な意見を拡声することしかできないので、まったくちがう鐘の音が聞こえなくなってしまうのです」。アイデンティティの構成要素は複雑な関係にある。それは時間とともに変化して人のふるまいも変える。