毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

江戸の読書会

江戸時代の漢文教育には素読・講釈・会読という三つの方法がある。このうち会読は比較的上級者向けの教育方法で、みんなで経典を読み合って意見を闘わせる形式を持っている。車座になって参加者同士で討論を行う読書会である。会読には三つの原理があるとされる。一つ目は討論を奨励する相互コミュニケーション性、二つ目は参加者の貴賤尊卑の区別がない対等性、三つ目は読書を目的として自発的に集会をする結社性である。その広まりの背景には、参加者の自由な活動としての遊びとしての側面もある。会読は藩校での教育方法としても広まり、幕末から明治にかけての身分制社会を変えていく力にもなっていく。

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