毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

日和下駄

「路地はいかに精密なる東京市の地図にも決して明には描き出されていない。どこから這入って何処へ抜けられるか、或は何処へも抜けられず行止りになっているものか否か、それは蓋し其の路地に住んで始めて判然するので、一度や二度通り抜けた位では容易に判明すべきものではない。路地には往々江戸時代から伝承し来った古い名称がある。/路地は即ち飽くまで平民の間にのみ存在し了解されているのである。/路地は公然市政によって経営されたものではない。都市の面目体裁品格とは全然関係なき別天地である」。江戸切図を懐に日和下駄をはいて東京のまちを荷風が歩く。江戸の往時を偲びつつ変わりゆくまちなみを書き留めていく。

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