「注釈というものが疑問や無知をふやすということがよくいわれる。というのも、人間に関する書物であれ、神にかかわる書物であれ、多くの人々が熱心に取り組んだからといって、その解釈によって難解さが解消されたようなものはないのだ」。モンテーニュは多くの随想を書き残している。この本は抜粋した版で、書物や経験などのテーマが収められている。さまざまな古典への言及があり、モンテーニュ自身が夢想した言葉が書き連ねられている。「つまり、読者よ、わたし自身が、わたしの本の題材なのだ。こんな、たわいのない、むなしい主題のために、きみの暇な時間を使うなんて、理屈にあわないではないか。では、さらば」。では。
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