毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

鉄条網の世界史

「鉄条網の最大の機能は、空間の「遮断」である。それは政治的な分断にも威力を発揮してきた」「牛の群れを囲う機能が、人間に向けられるのは時間の問題だった。人間を拘束する刑務所、強制収容所、捕虜収容所、難民収容所などは、鉄条網抜きには存在しえないまでになった。人間を狭い空間に押し込めて無力化し、家畜のように扱うことを可能にする」「鉄条網は国と国とを隔てる国境だけでなく、国内でも敵味方、人種、民族、宗教、貧富……などの違いを分け隔てる壁でもある」。鉄条網は開拓に用いられる。土地を確保する。家畜を囲い、農地を確保する。それは動植物の生態系を変えてしまうことでもある。そして鉄条網は戦争にも用いられる。国境を分断する。権力が人々の生活をも脅かすようになる。

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