毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

幻獣の話

「一篇の詩にまじりこんだ一つの比喩のなかに、ヨーロッパの文学遺産といったものがかいま見えないだろうか。古典ギリシアに生まれ、ホメロスを経由して、微妙に姿を変えながら故事伝承となり、あるいは絵画の主題となった。それについてはことさら学ぶまでもなく、いつのまにか人々の知識の棚に収まっている。パリの憂愁詩人が老いを嘆きつつ過ぎ去った青春を思い返したとき、おのずとそれが顔を出した」。幻獣はどこからやってきたのか。同時代のうちに人から人へと伝聞していく。ある人が見たものが姿かたちを変えながら書物に記される。書物に残されて読み継がれるなかで別のイメージが膨らむ。文化的鉱脈の連なりができる。

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