毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

料理と利他

東京工業大学未来の人類研究センターの利他プロジェクトの対談記録。土井さんが河井寛次郎記念館で家庭料理のなかに美しい世界があることに気づくというエピソードからは、文化情報資源をアーカイブして展示する空間をつくることが、巡り巡って誰かの考え方を刺激することが分かる。中島さんは志賀直哉の「小僧の神様」から利他的な行為の場面を読み取る。文学作品に書き残された一場面には私たちの行為を言語化するヒントが含まれる。誰かの遺したものが別の誰かに影響を及ぼし、新しいものの考え方を世の中に生み出していく。和食では食材を混ぜるではなく和えると捉えるらしい。私たちのものの考え方も和えられていくようだ。

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