イン
イギリスの宿屋の話。宿屋の機能はただ寝泊まりのためではない。人が通り過ぎる場所ではない。よそから人がやってきては地元の人と交流する。人が集まってお酒を飲んで語らう社交場にもなる。酔いどれ。政治談義の空間にもなる。本が出れば出版祝賀会も行われる。文学クラブもつくられる。ときには文学作品の舞台にもなる。宿屋の名前に洒落た名前をつけてみたい。粋な看板や紋章をつくりたい。それらは街の風景の一部になる。その看板は誰が描いたのか。馬車はどこに停めて馭者への対応はどうしよう。コーヒーハウスが宿屋へと変わっていくようにもなる。男女二人で一部屋に泊まりたいなら夫婦であることを証明できるだろうか。