人が読書という行為に至るまでの過程を考えると、本の中身を読む前にまずは本そのものに触れるところから始まることになる。私たちは読みたいと思った本を手に取ってその本を開く。開かれた状態で誰かに読まれているときの本と、閉じた状態で棚に置かれているときの本を比べてみると、同じ本でも表情が違っているように見える。本は誰かに読まれるための形をしていて、本は棚に並ぶための形にもなっている。本は顔を見せたり背中を見せたりもする。いろんな本の形を考えてつくり続けてきた人たちの仕事の先に私たちの読書がある。
calil.jp