毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

文盲と読書の社会史

「文盲者が読んだり、書いたりすることができないのは確かである。しかし、文盲者にその力がないとしても、自分の生きている時代の文化には、受容の面でも創造の面でも、充分に参加することができるし、しかも、その参加の手段が、歌謡、伝説、昔話などの民俗的な口承文学作品だけに限られるなどということはけっしてない。文盲者は、自分で物語を口述するとか、他人の朗読に耳を傾けるとか、あるいは、人前で演説したり、演劇を見たりするなど、さまざまな形で、一般的な書物や特殊な書物の近代的で複雑なあり方とかかわりを持つことができるのである」。文字を理解しなければ本が読めないと思い込んでしまう。書物の形も読書の形も時代によって大きく変わっていく。印刷技術と書物生産の発達。社会教育と学校教育の整備。その時代の人たちがどういう本を読んできたのだろうか。
calil.jp