毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

異本論

文献を読むということは読者の数だけさまざまな読み方が生まれるということでもある。時間が経つにつれて本は異なる形になっていく。異本が生じる。本というものは単に作者がいて文章を書けばそれで完成するわけではない。本が自分のところに伝わってくる。自分が本のことを誰かに伝える。古典として扱われる本。時代の変化によって求められる本。推敲によってテキストが入れ替わっていく本。本というものが持っている性質は私たちの読書や表現に対しても影響を及ぼしている。「人間は異本をつくらずにはいられない動物のようである」。異本は読者との関係によって生まれてくる。

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