読むことの風
「ことばが見つからない どれだけ、自分の内側を見つめても ことばが見つからない どれだけ、周囲の声に耳を傾けても ことばが見つからない さびしさに震える でも読むことの風は ことばの外から ほら、もうここに届いている」。編集者アサノタカオさんの随筆集。本のない世界に身を置いて本のことを考える。本とはいったいなんだろう。「海は、ひらかれた書物に似ている」。私たちが見ている世界に、本はあらゆる姿で現れている。私が見えていない世界にも本はある。その本に気がつかないまま。それでも、本を読むことの風は吹いている。