毎日の図書館学

初めて図書館学に触れる学部1年生を想定して図書館に関係ありそうな本を毎日1冊ずつ300字程度で紹介します。

書物と製本術

「書物を読む読者は増加したとはいえ、十七、十八世紀において趣向を凝らした革装を持つことができるのは、社会的身分のある裕福な人びとであった。貴族の間でも経済的格差があり、金箔押しのデザインを含めて装幀の質はさまざまであったが、本は書物を読むという目的を超えて貴重品として扱われた。書物を大切に保管するのは、第一に保存の目的であったが、第二に装飾と差別化という社会的な体面の目的があったと考えられる」。王令によって仮綴じの書物と製本が区別され、書籍商と製本工房の組合が分かれることとなる。仮綴じの書物を購入し、読者の好みに応じて製本が依頼される。フランス装へとつながっていく。紙の束をどのように綴じていくのかという技術の発達と制度のあり方が書物の形にも影響を及ぼしていく。

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